
公開研究会の報告
- 第19回公開研究会報告「コミュニティをつなぐテクノロジー」
- 第18回公開研究会報告
「アジアの大学、リテラシーの環:d'CATCH 2010 シンポジウム」 - 第17回公開研究会報告
「地域文化とメディア実践~瀬戸内で育まれる協働コミュニティ~」 - 第16回公開研究会報告
「デジタルメディアと遊び:放送、そしてミュージアム」 - 第15回公開研究会報告
メディア・エクスプリモ シンポジウム2009: 「情報があふれかえる社会」から「表現が編みあがる社会」へ - 第14回公開研究会報告
「協働的メディア・リテラシーの可能性と課題:民放連メディアリテラシープロジェクト・セミナー2009」 - 第13回公開研究会報告
ところ変われば品変わる!:ケータイの比較文化論
Different Places, different customs !:Comparative Cultural Studies on Mobile Media - 第12回公開研究会報告
「地域を育む:地域のメディアと大学の役割」 - 第11回公開研究会報告
「メディア・クライシスとメディアリテラシー −マクロとミクロとワークショップ−」 - 第10回公開研究会報告
「学校では教えてくれないメディア表現とリテラシー」 - 第9回公開研究会報告
「ネット社会とメディアリテラシー」 - 第8回公開研究会報告
「子どもの可能性を拓くメディア・リテラシー --社会教育の場づくりから考える--」 - 第7回公開研究会報告
「メディア・エクスプリモの挑戦:学環えんがわワークショップから考える」 - 第6回公開研究会報告
「あらためてメディア・リテラシーを問う」 - 第5回公開研究会報告
「"学び"とメディアの間を結ぶもの」 - 第4回公開研究会報告
「ミュージアムにおけるコミュニケーション・デザイン 〜放送とメディアリテラシー〜」 - 第3回公開研究会報告
「ジャーナリズムとメディアリテラシーの対話」 - 第2回公開研究会報告
- 第1回公開研究会報告
「ようこそ『MELL platz』へ」
メル・エキスポの報告
- MELL EXPO 2010
(EXPO全体のレポート) - MELL EXPO 2010
(2010年3月5日のレポート) - MELL EXPO 2010
(2010年3月6日AMと7日AMのレポート) - MELL EXPO 2010
(2010年3月6日PMのレポート) - MELL EXPO 2009
- MELL EXPO 2009 第1日目(2009年3月20日)
- MELL EXPO 2009 第2日目(2009年3月21日)
- MELL EXPO 2008
- MELL EXPO 2008【プレゼンテーション、パネルディスカッション、総括ミーティング】
- MELL EXPO 2008【トークセッション】
- MELL EXPO 2008【パビリオン】
ミニ・プラッツの報告
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2009.4.30
MELL EXPO 2009 第2日目(2009年3月21日)
午前中のメインステージでは、「禁止された遊び」というディスカッション。近ごろ規制論議が急速に高まっているケータイについて、これまでのメディアにみられた「いかがわしさ」と「規制」のダイナミズムなどを引き合いに、そのメディアとしての課題と可能性を考えました。なおこのディスカッションは、メル・プラッツと、KDDI研究所と水越研究室の共同研究「テレコミュニケーションの文化とリテラシーに関する質的、デザイン論的研究」の共催で進められました。まず、岡田朋之さん(関西大学)が、伝言ダイヤル以来の豊富なフィールドワーク経験を参照しつつ、子どもと大人の認識のギャップに言及。そしてケータイ規制論議の現状は、一方では、60年代の混線遊びや80年代なかば以降のテレクラなど、メディアに媒介された「出会い」の系譜を辿ることで、そして他方では、「風俗営業取締り」などに遡る有害メディア規制の源流に目を向けることで、歴史社会的に位置付けられることを指摘しました。遊びの空間が無くなっている今、逸脱しながら学ぶという営みがもっとあるべきで、そういう場を用意することに知恵をしぼることが重要である、といいます。
木暮祐一さん(携帯電話研究家)は、「問題は事実、起こっている」としながらも、「小中学生ケータイ禁止議論に物申す」といい、通信事業者(キャリア)主導の「垂直統合」型のサービス展開が、問題の背景にあるのではないかと指摘します。端末のデザインやモバイルサイトの仕様がガラパゴス的に進化していくなかで、やや乱暴にいえば、子どもたちを食い物にして利益を上げている大人も問題ではないか、と木暮さんはいいます。学校への持ち込み禁止で解決できる問題でもなければ、メールやインターネットが使えなければよいというものでもありません。大人になれば必要不可欠なものである以上、教育の拡充が欠かせないと論じました。金ヨニさん(東京大学院生)は、日本と韓国の比較文化的な視点から、文化としてのケータイについて論じました。たとえば、ケータイ小説。これは日本に特徴的な表現=享受形態であり、韓国ではケータイで長い文章を読み書きする習慣が無いといいます。韓国では文字媒体という感覚が薄く、たとえば「セルカ(=セルフ・カメラ)」と呼ばれる自分撮りの流行のように、ケータイの写真や動画を使った表現活動が活発で、ブログや動画投稿サイトの流行と結びついたストリート・ジャーナリズムの隆盛につながっています。
司会の水越伸さん(東京大学、メル・プラッツ運営メンバー)は、「ケータイを活用した犯罪、ケータイによって子どもたちがしんどい思いをする、といった事実を見過ごしたいわけではない」と前置きした上で、「時間軸や空間軸によって実態を捉え直すことが重要で、言説やイメージに踊らされることはやめよう」と発言し、「禁止」がはらんでいる問題をあぶりだすことの重要性を強調しました。
「禁止された遊び」という問題設定について、フロアからは「誰が何のために禁止しているのか?中学校や高等学校では、教室で起こっていない問題の対応に追われている」という発言がありました。これに対して岡田さんは、「禁止では解決しない、と教育現場では口を揃えている」と回答。「学校で起こっている問題ではなく、クラスの人間関係の問題。どのように人間関係を構築するかを、粘り強く指導するしかない」。除菌や隔離といった予防医学的な観点では解決は見込めず、生活習慣病の予防のようにリスクをいかに下げるかが大事、と岡田さんはいいます。
水越さんは、「キャリアやメーカーのことを知るのも重要」で、「送り手と受け手という概念は無効だという議論もあるが、僕はそうは思わない」といいます。ケータイを活用したコミュニケーションの全体を考えることが重要で、歴史社会的かつ比較文化的な観点に立つことによって立体的で奥行きのある議論ができると述べ、ディスカッションを締めくくりました。 子どもたちがケータイを徹底的に遊び倒すことで、どうしても満たされないこと、あるいは危ういことがらにも気付いていく「遊びの空間」は、どのようにして可能になるのでしょうか。これからさらに踏み込んだ議論が必要だと感じました。
午後のメインステージでは、サトシンさん(おてて絵本普及協会会長)と駒谷真美さん(昭和女子大学、メル・プラッツ運営メンバー)による「おてて絵本ワークショップ」、原田康徳さん(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)と高宮由美子さん(NPO法人子ども文化コミュニティ、メル・プラッツ運営メンバー)による「ビスケットランド〜楽しいビジュアル・プログラミング体験」という、ふたつのワークショップがおこなわれました。そのころ、ホワイエのトークサロンでは、富山(チューリップテレビ)と岡山(岡山放送)とのあいだをSkypeで三元中継し、それぞれの地域で民放連メディアリテラシー実践プロジェクトに取り組んだ高校生と局員のみなさんが、エキスポの参加者を交えて交流をおこなっていました。さらに2箇所のプレゼンテーション・コーナーでは、出展者が15分の持ち時間で、趣向を凝らしたプレゼンテーションを実施。いくつもの催しが同時並行的におこなわれ、いずれも盛況だったのですが、あまりにも盛り沢山の内容だったため、そのすべてを体験できなかったのが残念。
そして最後は、「ケータイ・トレール!」のセッション。ケータイの動画機能を用いて、2日間にわたって会場で収集されたメッセージと、写真メールもしくは手書きで寄せられたコメントが紹介されました。この会場に集まったみなさんの関心や活動を互いに知り、交流を深めるための仕掛けであり、午前のディスカッションを踏まえていえば、「禁止された」ケータイの共同体的/公共的な使い方を試みたものです。誰でも参加可能な「メディア表現」の形式であり、参加者のコミュニケーションを循環的に誘発する「メディア遊び」であると、Media Exprimo の鳥海希世子さんと阿部純さんが解説しました。 2年目のMELL EXPOはこうして盛況のうちに終了。メディア表現とリテラシーについて語り合う、年に一度の「お祭り」として定着しつつある反面、その全貌を俯瞰する仕掛けとして「ケータイ・トレール!」を今年は試みたわけですが、ここに結集するさまざまな関心や活動をさらにどのように編み上げていくか、メル・プラッツに課せられた宿題は大きいと感じています。(報告者:飯田豊/メル・プラッツ運営メンバー)
